火曜コラム(紙面掲載 2025年2月18日)

三浦 純一


「冬の朝の寒さがもたらす 健康リスクに注意しましょう」

 厳しい寒さが続く毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 今回は冬の朝に潜む健康リスクについてお話しします。寒い朝は体に大きな負担がかかりやすく、特にお年寄りの方は注意が必要です。
 冬の朝は1日の中でも特に気温が低く、血管が収縮して血圧が急に上昇し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。特に持病のある方は寒さが命に関わる事態を引き起こすこともあります。
 また寝室から寒いトイレや浴室に移動する際、急激な温度差が「ヒートショック」を招きます。冬場の入浴事故は交通事故よりも多いと言われ、特に朝は体温が低下しているため危険が増すのです。
 朝に現れる体の異変には注意が必要です。例えば胸の痛みや息切れは心筋梗塞の前触れかもしれません。突然の頭痛や手足のしびれは脳卒中のサインの可能性があります。
 また立ちくらみは血圧の急激な変化によるものです。こうした症状が出たら、すぐにかかりつけの医療機関を受診しましょう。
 冬の朝を安全に迎えるために、いくつかの対策があります。
 まず目が覚めたらすぐに布団から飛び出さず、手足を軽く動かして体を温めてから起き上がりましょう。寝室やトイレ、脱衣所は小型ヒーターなどを使い、室温を18度程度に保つことをおすすめします。
 朝は白湯やお茶など体を内側から温める飲み物を摂りましょう。
 入浴時は事前に浴室を温め湯温は40度以下、長湯は避けるのが安全です。
 そして温かい朝食で体をしっかり目覚めさせ、血流を促進して、その後に始まる仕事に備えましょう。
 地域で支え合うことも大切です。特に一人暮らしのお年寄りや老老介護のご夫妻だけのご家庭はリスクが高いため、ご近所での声かけや見守りが命を守ることにつながります。
 引きこもりがちな寒い冬ですが、ご近所の皆さんで朝のあいさつや散歩、草むしりや世間話をして、日頃から交流を深める工夫をしてみましょう。笑顔やあいさつにコストはかかりませんので、外気温が低くてもしっかり防寒して外に出て交流してみましょう。
 その行動が地域の安全や健康増進につながり、あなたの健康力や免疫力をアップさせます。
 ご家庭の環境によっては前の日からの準備が必要だと思います。いろいろ考えて行動してみると、ご自身の健康を自分で改善できることを学ぶと思います。
 冬の朝は少しの心がけで大きな健康リスクを減らせます。起床時の行動や簡単な運動、室温管理、温かい食事を心がけ、寒さに負けない健康な体を作りましょう。
 そして地域の皆さんが一緒に、冬の寒さでも明るく元気な生活を送りたいですね。

うつみね診療所 所長

三浦 純一

うつみね診療所長 元公立岩瀬病院長

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