師走の大掃除、「ぎっくり腰」にご用心
雪が降り始め、風も一段と冷たくなってまいりました。読者の皆様、お変わりありませんか。
師走に入り、そろそろ「年末の大掃除」を考えている方も多いことでしょう。新しい年を清々しい気持ちで迎えるために、住まいを整えることは素晴らしい日本の文化です。しかし、医師として気になることがあります。それは、掃除中の「ギックリ腰」です。なぜ、年末の掃除で腰を痛める人が急増するのでしょうか。最大の原因は「寒さ」と「油断」です。冬の筋肉や血管は、寒さで収縮し、まるで「古いゴムホース」のように硬くなっています。柔軟性を失った状態で、重い家具を動かしたりすればどうなるか。硬いホースを無理に曲げれば亀裂が入るように、筋肉や関節に大きなダメージを与えてしまうのです。
そこで今回は、大掃除を無事に終え、笑顔でお正月を迎えるための「腰を守る3つの鉄則」をお伝えします。
第一の鉄則は、「掃除の前もアイドリング」です。
寒い朝、車のエンジンをかけてすぐに急発進する人はいませんよね。体も同じです。いきなり掃除機を持ち上げるのではなく、まず肩や股関節を回す運動をほんの数分行うだけで、事故率はグッと下がります。
第二の鉄則は、「お相撲さんスタイル」です。
灯油のポリタンクや新聞紙の束など、重いものを持つ時、膝を伸ばしたまま腰だけ曲げて持ち上げていませんか?。これは腰に体重の数倍の負担がかかる最も危険な姿勢です。
正解は、お相撲さんのように足を広げて腰を深く落とし、荷物を自分のおへそに密着させてから、太ももの力で立ち上がること。腰で持たず、足で荷物を持ちます。
第三の鉄則は、「ロボットターン」です。
掃除機をかける時や拭き掃除の際、足の位置はそのままで、上半身だけを捻って作業をするのは禁物です。足と顔を常に同じ方向に向ける、ロボットのような動きが腰を守る秘訣です。
それでも万が一、「ピキッ」ときてしまったらどうすべきか。
まずは一番楽な姿勢(横向きで膝を抱えるなど)で安静にしてください。また、痛めた直後の「急性期」は、患部が炎症を起こして熱を持っていることが多いため、温めるよりも、湿布や氷嚢などで冷やす方が、痛みが和らぐ場合が多いです。ただし、足にしびれがある場合や、排尿に支障がある場合は、すぐに整形外科を受診してください。
家がピカピカになっても、体がボロボロになってしまっては、楽しいお正月は迎えられません。
今年は「頑張りすぎない大掃除」を心がけてみてはいかがでしょうか。高い場所や力仕事は、離れて暮らすお子さんやお孫さんが帰ってきた時の役割に残しておくのも、一つの知恵であり、家族のコミュニケーションかもしれません。
どうぞ皆様、ご自愛いただき、健やかな新年をお迎えください。





