「はい!」に拍手!
「はい!」たった2文字の音にこんなにも感動するとは思いませんでした。
去る5月、ある卒業式に出席した時、それぞれ自分の名前を呼ばれての「はい」という返事。その返事が全力なのです。もれなく全員が全力なのです、全身全霊で応えているのです。
私は、このような勇ましくひたむきで一生懸命な返事を聞いたことがありませんでした。やり遂げた誇りをまとった真しな2音に心が震え、あらためて、一生懸命な姿というのはなんと美しく心を打つものかと、それぞれの「はい」という返事に心の中で拍手を送り続けました。
またその学校内では、みなが元気で明るいあいさつの言葉を交わしており、とても気持ちよく清々しい思いがしました。
あいさつはコミュニケーションの第一歩であり、見ず知らずの人でもあいさつを交わすと心の距離が縮まるのを感じます。
そのあいさつの語源は、禅の言葉で「一挨一拶(いちあいいっさつ)」と言われています。
「挨(あい)」には「心を開く」、「拶(さつ)」には「心に近づく」という意味があるそうで、自分から心を開いて相手の心に寄り添うという意味なのでしょう。
私たちが普段使うあいさつの言葉は簡略化されたものです。
「おはようございます」は、「早くからご苦労様です」の略で、朝早くから働く人を労う言葉です。
「こんにちは」は、「今日はご機嫌いかがですか」の略で、相手の体調や心理状態を気遣う言葉です。
「こんばんは」は、「今晩は良い晩ですね」の略で、相手と今を分かち合い同調する言葉です。
「さようなら」は、「左様ならば」の略で、「それならば私はこれで失礼いたします」という礼儀の言葉です。
つまりあいさつは相手を認め思いやる言葉だと言えます。
前述の卒業式での子どもたちのように、真しな返事やあいさつを通して、心と心がふれあう日々を送っていきたいものですね。