「心の風邪」を防ぐ『日光浴』のススメ
1年で最も寒さが厳しくなる時期を迎えました。朝、布団から出るのが億劫になり、なんとなくやる気が出ない、気分が晴れない……そんなふうに感じている方はいらっしゃいませんか?
実は、冬に気分が落ち込むのには、医学的に明確な理由があるのです。
私たちの体と心は、太陽のリズムと深く結びついています。日照時間が短くなる冬は、脳内で「セロトニン」という神経伝達物質が不足しがちになります。
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神を安定させ、安心感や平常心を保つために不可欠な物質です。これが不足すると、わけもなく悲しくなったり、イライラしたり、過食や過眠といった症状が現れることがあります。
つまり冬の不調はあなたの心が弱いからではなく、日照不足による「生理現象」の一つなのです。ではどうすればこの「心の風邪」を防ぐことができるのでしょうか。
特効薬は、病院の薬ではありません。「太陽の光」です。
私たちの脳は朝、太陽の光(2500ルクス以上)を目から取り入れることで、セロトニンの合成を活発化させるスイッチが入ります。
具体的な「処方箋」として、以下の3つを提案します。
1つ目は、「起床後のカーテン・オープン」です。
朝起きたら、まずカーテンを開けてください。寒くて外に出られなくても構いません。窓越しに15分程度、空を眺めながら新聞を読んだり、朝食をとったりするだけで、脳のスイッチが切り替わります。
2つ目は、「リズム運動」との組み合わせです。
セロトニンは一定のリズムを刻む運動によって分泌が促進されます。「ウォーキング」ができれば最高ですが、足踏みをしたり食事の際によく噛む(咀しゃく運動)ことでも効果があります。
3つ目は、「夜の準備は朝から始まる」という意識です。
朝作られたセロトニンは、夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変化します。つまり、朝しっかり光を浴びることが、夜の質の良い睡眠(熟睡)を約束してくれるのです。
植物が光を求めて葉を広げるように、人間もまた、光なしでは健やかに生きられない生き物です。「日光浴」というと古臭い健康法に聞こえるかもしれませんが、最新の精神医学から見ても、これほど理にかなった、副作用のない治療法はありません。
「なんだか調子が悪いな」と感じたら、まずはカーテンを開けてみてください。
雪雲の向こうにある太陽のエネルギーを借りて、体と心の調律を整える。そんな穏やかな習慣が、厳しい冬を乗り越えるための、一番の温かい上着になるはずです。
春は必ずやってきます。それまで、光と共に、健やかにお過ごしください。





