阿武隈川遊水地群地内利活用検討会「維持負担への配慮も必要」 2月に作業部会設置予定


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    地元に寄り添った対応を求める木賊町長

 阿武隈川上流遊水地群地内利活用検討会は30日、鏡石町健康福祉センターほがらかんで第1回会合が開かれ、検討会だけでなく鏡石町、矢吹町、玉川村の3町村の特色ある意見を反映させるための作業部会も設置し、農業も含めた利活用の方法を探っていく。3町村の首長は、その前提として占有者の維持負担に対する配慮や、流域治水・遊水地に対する下流域の理解醸成が必要であると強調した。
 遊水地群は阿武隈川緊急治水対策プロジェクトに基づき、3町村に約350㌶の遊水地群を整備し、令和元年台風と同程度の水害にも耐えうる流域治水を図る。整備は令和10年度までの完了を目指す。
 検討会は福島大共生システム理工学類の川越清樹教授を委員長に、木賊正男町長ら3町村の首長、大学・民間の建設、農業等の専門家、国・県職員など13人が委員を務め、福島河川国道事務所が事務局を担う。
 川越教授は「遊水地は流域全体を守るため、特定の地域が貢献するものだが、流域全体が遊水地を整備する地域のために動くことも必要であり、そういった利用も含め建設的な議論をお願いしたい」と述べた。
 検討会は作業部会に個別議論を依頼し、利活用案の報告を受け方向性などを検討し、方針を固めていく。現時点での計画では、概ね1年で方向性の策定、次の1年でゾーニングと必要機能の設定、最後の1年で事業スキームの検討と利活用方針の策定を目指していく。
 作業部会は2月下旬に実施予定で、その後住民と企業を対象に要望や意見、アイデアを求める意向調査を実施し、次の作業部会、検討会につなげていく。
 利活用の一つの案として、水田等農地の活用も挙がっている。3町村が昨年、国に要望したことで制度が拡充され、実現可能となった。
 しかし少なくとも現状の農地を数㍍掘り下げる必要があり、表土を搬出し再び戻した場合、品質や収量にどの程度影響が出るかわからない。
 そのため国は遊水地整備予定地に試験ほ場を整備して検証する考えで、設計を令和6年度に完了させ、実際の試験を7年度以降に行う予定。
 なお遊水地の整備に向け用地協議の進捗は26日現在、全体の350㌶のうち76・7㌶、21・9%が契約済み、このうち鏡石町は130㌶のうち18・3㌶、14・1%が契約済みとなっている。
 鏡石の作業部会委員は次の通り。
 鏡石町商工会、かがみいし振興公社、夢みなみ農業協同組合鏡石支店、かがみいしスポーツクラブ、岩瀬農業高、町教育委員会、町区長協議会、水害から居住地を守る成田地区推進協議会、魅力あるまちづくり実行委員会、東部工業団地「まきば会」、町・県・国の担当課

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