桜
「こんばんは、マスター。」
「いらっしゃいませ、お久しぶりですね。お変わりありませんか?」
「ええ、仕事は変わらずです。マスターのお店は地震大丈夫でしたか?」
「はい。大きな被害は無く再開させて頂きました。お互い無事で何よりでしたね。今日は何をお出ししましょうか?」
「春っぽいものがいいですね。お任せします。」
「では、桜リキュールを使ったカクテルをお出しさせて頂きます。」
「桜かぁ、いいですね。今年はお花見位したいですね。」
「そうですね。企業等の大人数では難しいでしょうから、あくまでも個人でという事にはなりそうですね。失礼します、春のカクテルで桜・トニックです。」
「透き通った綺麗な桜色ですね。頂きます…ん桜の香りがきちんとしますね。」
「そうなんです。ビックリする位に桜を感じますよね。小豆餡と合わせると桜餅のような感じになりますよ。」
「なるほど、確かに面白い組み合わせですね。和菓子とカクテルは考えた事なかったです。」
「私が思う相性がいい組み合わせは、カクテルには羊羮ですね。口当たりもプルっとして気持ちよく、小豆の優しい甘さは色々なお酒に合うと思います。」
「口当たりと甘さの種類ですか、面白いですね。もらったけど手をつけてない羊羮が家にあるので試してみます。」
「他でいいますと、どら焼きのような焼き菓子と小豆餡の組み合わせの和菓子はかなりお酒と相性いいですよ。オレンジピールが香る強いお酒、ウォッカのストレート、ビールカクテルと何でもいけます。是非お試し下さい。」
「なるほど。考えてみればどら焼きってカステラと小豆餡みたいな組み合わせですもんね。カステラに紅茶が合うとすれば、どら焼きに紅茶のカクテルだって相性はいいはずですよね。」
「その通りです。お酒やカクテルというものはお茶や和菓子の世界とは別のカテゴリーに考えられがちです。でも、原材料や加工の仕方、味や風味等をきちんと見てみると色々と相性の良さや共通点が発見出来ます。まずは試してみる事が1番だと思います。」
「そう考えると面白いですよね。家での晩酌も楽しくなりそうです。」
「是非奥様とお試し下さい。桜咲く季節にオリジナルの組み合わせで和菓子とお酒っていうのも、お花見として楽しいと思いますよ。」
「年を重ねてくると、別にバーベキューしなくてもいいんですよね。僕みたいな酒飲みからすれば、桜、和菓子、お酒の組み合わせは惹かれるものがありますね。」
「お花見は飲み過ぎればただの飲み会になりますから。写真や自転車など他の趣味と組み合わせても、お花見になりますし。」
「マスターはロードバイクでお花見ですか?」
「はい、私は須賀川じゅうの桜を見れるだけ見るようにコースを組んで走りますね。写真はあまり撮りません。桜の香りとか春の匂いを感じるとオリジナルカクテルを作る為のインスピレーションに繋がりますし。」
「趣味や楽しみが仕事にも活かせるって素晴らしいですね。」
「いえ、いつでも仕事が頭の中でチラついてしまうだけですよ。」
鬱屈としてしまう、ウイルスと共生しなくてはいけない状況が続いています。今年の桜はとても綺麗に感じれるでしょう。個人でも楽しめる「お花見」は気分転換に最適かもしれません。お時間がありましたら、和菓子とお酒を持って楽しんでみてはいかがでしょうか。