火曜コラム(紙面掲載 2021年6月15日)

野木 卓


お酒と煮込み料理

 今年も田植えが終わり、梅雨入りが待たれる季節になりました。外に出掛けるのがはばかられる昨今ですが、皆さんは雨天時いかがお過ごしでしょうか?
 私の周りでは、お家時間を充実させるために料理を始める方が増えているように感じます。
 普段はパスタやチャーハンでサッと済ませる料理が多い方ほど、出掛けられない雨の日はしっかり時間をかけて料理するのがストレス発散につながるようです。
 今回はバーテンダー目線での「お酒に合う煮込み料理」のお話をしたいと思います。
 世界中に煮込み料理は沢山あります。肉の種類は勿論モツを使ったものやトマト系の味付けをしたものまで、土地の気候や食材に合わせて多数のバリエーションが存在します。
 私は出来るだけ簡単でお酒の進む煮込み料理が1番だと思っています。
 例えばビールに合わせるなら「豚のスペアリブ」を買ってきて、味付けは「ニンニクを効かせた醤油系」というようにざっくりと系統を絞って料理を始めます。
 インスタント・クッカーと呼ばれる電気式圧力鍋も安く手に入る現在、お肉のアク抜きなどの下処理は本当に簡単になりました。例えば私が好きな「スペアリブのスタミナ煮込み」の調理工程を軽く説明しますと、
 ①スペアリブを鍋に入れ、ヒタヒタになるまで水を満たす。
 ②そこに香味野菜(ネギの青い部分、ニンニクやショウガ)を加える。
 ③インスタント・クッカーで下茹でをする。
 ④下茹でが終わったら、クッカーの中の余分な水分と香味野菜を取り出し、醤油、酒、焼き肉のタレなどを入れて煮込む。
 という風に、細かい事は省きますが段階としては凄く簡単なのが煮込み料理です。失敗しない様に、味付けを変えたり量を調節出来るのも煮込み料理が初心者に人気の理由だと思います。
 私の個人的なお勧めは、赤ワインなら「ビーフシチュー」、白ワインなら「クラムチャウダ」がベターだと思います。赤も白もカバー出来るのは「ミネストローネ」や「アヒージョ」でしょうか。
 カクテルは種類が多いので甘い物や全般はカバー出来ませんが、ジンリッキーやレモンハイなら問題なく合わせられるはずです。
 ここまで世界の煮込み料理がいくつか出て来ましたが、日本の煮込み料理のお酒との相性はどうでしょうか。
 次の3つを考えてみて下さい。
 おでん↓モツ煮込み↓関西どて煮、と順に味が濃くなっていきますが、皆さんどこからお酒を合わせますか?
 東北の人で一定以上の年齢の方ならおでんからビールも日本酒も合わせて楽しめると思います。
 優しい出汁のおでんでもお酒を合わせて楽しめる日本人、これは世界中の濃い味汁物料理のほとんどに対して日本人は酒を合わせて楽しめるという事です。
 今まで合わせた事がない組み合わせも沢山あるでしょう。時間があるなら自分で作って、更に好みを反映させる事も可能です。
 今日は雨で少し肌寒い…と感じたら、煮込み料理をお試しになってみてはいかがでしょうか。お家でお酒もあとわずかの辛抱かもしれませんが、せっかくですから楽しみましょう!

バーテンダー

野木 卓

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