時を越えたカクテル『オリンピック』
「マスター、こんばんは。」
「いらっしゃいませ。だいぶ蒸し暑い夜が続きますね。」
「本当だよね。オリンピック選手達もこの暑い中大変だったよね。」
「今回のオリンピックは日本人選手が沢山のメダルを獲得してますから、テレビで見てても見応えありました。」
「知らない競技も増えたけど、それはそれで見てると楽しいもんだね。ウイルスのストレスも軽減される感じがするよ。」
「どうしてもオリンピックの合間のニュースではウイルスの話題が流れてますよね。8月に入って、やはり県内でも感染者は増えてますし。」
「うーん。ワクチンが拡がってきて、やっとこれからお客さんが戻って来るって時にしんどいよね。」
「正直堪えますが、時代に寄り添って営業していこうと思います。」
「そうだね。必ず景気が回復する事を信じて、何かカクテルもらおうかな。」
「それでは、『オリンピック』というカクテルをお出ししましょう。」
「へぇ、オリンピックっていうカクテルがあるんだね。このカクテルは強いの?」
「ブランデー、オレンジリキュール、オレンジジュースを等分に割って作るカクテルです。アルコール度数は約21%ですね。」
「この名前だと、このカクテルは昔に作られたレシピなの?」
「はい。1900年にパリで開催されたオリンピックが第2回大会だったんですが、その時に記念して作られたレシピとされてます。なので、約120年前からの変わらない味という事になりますね。」
「120年前に生きてた人達と同じ味を共有出来るなんて楽しみだねぇ。豪華な気分だよ。」
「どうぞ、お楽しみください。オリンピックです。」
「いただきます…。ブランデーとオレンジリキュールの香りが凄いね。上品でしっかりとした甘みを感じるよ。」
「現代的な味にするなら、そこにレモンをひと絞り加えるとグッと飲みやすくなりますが、お試しになりますか?」
「いや、爺さんも知らない昔の味を楽しんどくよ。帰ったら奥さんと子どもに自慢しちゃおうかな。」
バーで味わう時を越えた味。興味がある方は試してみてはいかがでしょうか。