火曜コラム(紙面掲載 2023年4月11日)

夏奈色ひとみ


貴い子育てに光を

 昨年から、保育に関わる仕事に就いています。主に1歳から3歳の子どもたちとふれ合う時間は、自分の子育てがほぼ落ち着こうとしている今の私にとって貴重なものです。
 一人ひとり違う唯一無二の子どもたち。子どもの身の安全と心の健康を守るという揺るぎない土台の上で、できる限り目の前の子どもたちに向き合い、一人ひとりを理解したいと思いながら務めています。
 無邪気に膝の上にちょこんと座ってきたり、ギューッとハグされたりすると、私の方が子どもたちから愛をいただいていると感じます。
 また、親御さんと離れる時の泣き顔や、お迎えを待って「ママ来る?」と聞いてくる健気な横顔、一生懸命スプーンを使おうとしてうまくすくえずに、もう片方の手で食べ物をつかんでスプーンに乗せて食べようとする真剣な姿など…心打たれます。
 そんな日々の中で、いつも心の片隅で思うことは、我が子が幼いころ、私は母としてこのようにしっかりと子どもに向きあってきただろうか、ということです。
 子どもから話しかけられた時その子の目を見て返事をしてきただろうか、子どもの要求に「後でね」という言葉を使いがちではなかったか、目の前の子と片手間にではなく楽しんで遊べただろうかと振り返ります。
 もちろん、当時は子育ての当事者として余裕がなく日々をこなすことで精一杯な未熟な自分だったこと、そして歳を重ねた今、保育士という立場だからこそできること見えること思えることがあるという違いはあるでしょう。
 子どもといられる時間は短いとよく聞きますが、私も今その言葉を痛感しています。
 私がハッとさせられた子育てに関する言葉です。
 「子育ての悩みはなくならない、それを引き受けるのは、親として当然の責務だと認識することです」平光雄(小学校教諭・社会教育家)
 子育ては日々待ったなしの役割ですね。その年代年代の悩みはつきものなのでしょう。子育て真っ只中のお母さんお父さんたち、かけがえのない子育てというお役目、お疲れ様です。疲れているということはそれだけがんばっているということです。
 ぜひ、周りの方々へ協力を仰いだり、自治体の子育て相談窓口や子育て支援センターなどを活用しながら、地域ぐるみで子育てしていきましょうね。
 先日、異次元の少子化対策のたたき台が発表され、今月からはこども家庭庁が発足しました。貴い子育てにあたたかな光が降り注ぎますように。

絵本作家

夏奈色ひとみ

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