火曜コラム(紙面掲載 2023年4月25日)

西間木 恵理


「アヒムサ」YOGAの教え
 ~ Yamas(禁戒)「Ahimsa」~

 さて、今回は「アヒムサというYOGAの教え」について書いてみたいと思います。
 YOGAというと、まだまだ体を動かすエクササイズのイメージが強いと思いますが、古来より伝承されてきたYOGAの経典の中には、もっと本質的な「日常生活の中で人としてすべきこと」つまり倫理観や道徳的な内容が沢山示されています。
 その一つに「アヒムサ/アヒンサー(Ahimsa)」非暴力・平和と訳される教えがあります。これは肉体的にも精神的にも他人や自分自身を「傷つけない」という意味です。
 人への肉体的な暴力はもちろんですが、自分自身を傷つけたり、苦しめたりする行為も含まれます。例えば、過度のトレーニングや食事制限、睡眠を削るなどもそうですし、逆に運動もしない、暴飲暴食をするなど、いわゆる不健康な状態を作り出す行為もその一つです。
 また、「心」精神面に対する暴力もアヒムサに反する行為となります。これは主に言葉・態度での暴力で、他者に対する批判的な言葉、態度、ジャッジをする行為はもちろんですが、「自分の考えの方が正しい!」と、相手を正そうとするアドバイスも、高圧的になってしまうと、相手に受け入れてもらえないばかりか、相手を傷つけ、巡り巡って自分自身へのストレスの種となって跳ね返ってくることは言うまでもありません。
 言葉や想いには強いパワーがあります。マイナスの思考や感情、キツイ言葉を使うと、それはそのまま自分への精神的なダメージに繋がるのです。
 ふんわりと柔らかい思考と心で、優しい言葉や笑顔になる言葉(誉め言葉)を普段から使うことは、YOGAの身体的なトレーニングをする以上に大切な実践の一つなのです。
 日々の生活の中で、様々な感情・想いが現れてきます。それがけして悪いわけではありません。ただ、その感情も想いも上手く自分で受け止め、ぶつけるのではなく、ゆっくり手放していく。
 YOGAとは、心の平穏を保つための修行法なのです。「非暴力に徹した者のそばでは、すべての敵対が止む」とヨガスートラには書かれています。
 ぜひ、アヒムサの教えを参考に、自分自身を平穏に保ち、澄んだ心と笑顔で、自身も周りも朗らかに、健やかにしていくのはいかがでしょうか? The beautiful life with Yoga!

ヨガ+ライフアッププロデュース

西間木 恵理