火曜コラム(紙面掲載 2025年9月17日)

沢田 隆志・はな夫妻


「知らない」から「怖い」

 「嫌い」や「怖い」という感情は、案外「知らない」ことが原因だったりする。
 高校時代、ずっと同じクラスなのに、どうも好きになれないクラスメートがいた。たぶん彼の目つきが嫌いだと私が一方的に思っていたことが原因だ。
 ところが私が大好きだったラジオ番組を彼も聴いていると分かってからは話すようになり、すっかり仲良くなった。卒業時の彼に対する印象は「切れ長の目のイケメン」だ。
 また私は長いこと犬が嫌いだった。吠えるし、噛まれそうだし、近づかれると身構えた。
 しかし妻の実家で犬を飼っていて、半ば強制的に触れる機会が増えると、普通に癒された。しっぽを振りながら近づいてくる姿を見て、「かわいい、撫でたい」と思った。自分でも驚く変化だった。
 オンライン会議は慣れるまでは嫌だった。「パソコン画面の中だけで会議?会わずして話し合いなんか出来ないでしょ!」と思っていたけど、便利さを知ってしまった今は打ち合わせだけのために召集されると、「なんで?オンラインでいいでしょ?」だ。
 スマホ決済も最初は怖かった。「画面にピッでお金が消えるなんて危なっかしい」と思っていたが、いざ使ってみれば財布よりずっと安心。レジで小銭を探して焦ることもない。
 今や現金を持ち歩くことの方が不安に感じるくらいだ。恐怖の正体は「やり方を知らない」だけだった。詳しい友達に「どうやったらスマホ決済って使えるの?」と訊く勇気があれば、もっと早く便利さを享受できた。
 結局のところ「嫌い」や「恐い」の裏には「知らない」が潜んでいる。
 避け続けると未知のものがどんどん「嫌いなもの、怖い存在」になっていく。また、新しい価値観や考え方に触れることができず、自分の世界が固定され、生きにくくなる。
 裏を返せばそれらを少し知ろうとするだけで世界は広がるのだ。
 嫌いだった生き物に癒されるようになるかもしれない。だから自分の中の「嫌い」「怖い」は、ちょっとだけ疑ってみることにしている。

GALATA COFFEE

沢田 隆志・はな夫妻

GALATA COFFEE代表 ウルトラFMパーソナリティ

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