火曜コラム(紙面掲載 2026年2月17日)

沢田 隆志・はな夫妻


「時空の歪み」

 立春を過ぎて「春ですね」なんて言いつつ、大寒波がやって来て寒さに震える日が続いた翌日のこと。
 部屋には陽が射してきて、「今日は気温が上がるでしょう」という天気予報士さんの言葉に浮き足立ち、ちょっと油断して外へ飛び出したら…まだまだ寒い冬でした。
 それでも、なんとなくそろそろ春っぽさを感じさせる珈琲豆を準備しておこうかなと思っている、今日この頃です。
 さて、珈琲を淹れていると、お湯の落ちる角度や豆が膨らむ様子に見惚れてしまうことがあります。
 いえいえ、お客様のご注文を承ったときは、そんな悠長に見惚れている場合ではありません。
 私の店は移動販売車。寒い冬の期間もたくさんのお客様にGALATA COFFEEに足を運んでいただきました。寒い中お待ちいただいているお客様の元にできるだけ早く、できる限りおいしい珈琲をお届けしたい、の思いで豆を計り、お湯を沸かし、手際よくドリップする。
 あれれ??自分では「電光石火」の早業でこなしているつもり……なのですが、ふと時計を見ると、驚くことに3分が経過しているではありませんか。
 穏やかな表情で待ってくださるお客様を横目に、私は心の中でそっと冷や汗を拭いています。これはもう、私の周りには「時空の歪み」が発生しているに違いないのです。
 そんな「GALATA時間」に翻弄されながらも、お湯の角度や豆の膨らみに全神経を集中し、珈琲においしさが溶け込むのをじっくり待ちます。
 「お待たせしました。」
 珈琲屋をやっていて幸せを感じる瞬間のひとつは、お客様同士がカップ片手に楽しげにお喋りしている姿をカウンター越しに眺める時間です。
 これからは春の別れや出会いの報告も聞こえてくることでしょう。春の足音が聞こえ出す、ちょっとソワソワする季節。
 そんなときもカップの中には、急がず、焦らず、のんびりとした時間が流れますように。私は今日も時空の歪みに身を任せ、ほっこりと珈琲を淹れています。

GALATA COFFEE

沢田 隆志・はな夫妻

GALATA COFFEE代表 ウルトラFMパーソナリティ

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