火曜コラム(紙面掲載 2026年7月22日)

夏奈色ひとみ


琴線に触れた演奏会

 去る7月11日、第9回筝曲演奏会を拝聴しました。筝曲宮城会東北支部の創立60周年を記念しての催しで、福島市の音楽堂で行われました。
宮城宗家の牧瀬裕理子先生、尺八の山本邦山先生、ヴァイオリンの篠崎史紀先生もご出演され、東北6県のお箏の先生方が一堂に会したこの上なく貴重な演奏会で、何より我らが桐音会の後藤先生を始めとする先生方や生徒さんが出演した晴れの舞台は圧巻で感動するものでした。
着物姿でステージに立たれた先生方の佇まいは凛とした麗しさで、芸事を継続し磨き上げてこられた誇りや信念、自尊心などを感じ取りました。
そして全て暗譜での演奏に向き合うひたむきさ誠実さを目の当たりにし、それぞれ日々の生活で様々な事柄ご苦労などある中で、今日この日まで調整され晴れの舞台に立たれているそのお姿の背景に思いを馳せ心打たれ励まされる思いでした。
先日、元宝塚歌劇団の方の講演で、「芸又芸」という終わりのない成長を表す言葉を知り、演者は何を伝えたいかを明確にして臨む。
例えば同じ曲を弾いても弾く人によって伝わるものは違う、その人だから伝えられる唯一無二の音がある、一方で受け取る側は、演者が登場した瞬間からその人の在り方を感じ取るもの、何を受け取れるかを感じながら受け取り続けることが大切、というお話を思い出しました。
笙(しょう)という初めて目にした竹でできた厳かな音色の楽器が加わった「新暁」、子どもたちの奏でる「小鳥の歌」、舞台では演奏されることが少ない箏と尺八の二重奏「胡蝶」、そして、箏とヴァイオリンで演奏された「春の海」他、宮城道雄先生の数々の名曲が奏でられました。
また宗家の宮城道雄先生との思い出、上野松坂屋ホールでの子どもの演奏会後のごほうびソフトクリームのお話や、篠崎先生のグローカル(自分の地域から世界への発信)や価値ある伝統音楽の再生と伝承をどうしていくかなどのお言葉は興味深いものでした。
帰り際、後ろを歩く人から発せられた「心洗われたね」という言葉に頷きながら、先生方からご教授いただき同じ世界の一端に身を置くことができる幸せと誇りを感じ会場を後にしました。

絵本作家

夏奈色ひとみ

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