火曜コラム(紙面掲載 2026年8月26日)

沢田 隆志・はな夫妻


「優しくない質問」

 「私の血液型、何型だと思いますか?」とたまに聞かれることがある。はっきりと困惑してしまう。「あなたに全く興味がないので分かりません」と返しそうになるが、さすがに大人なので「優しそうだからA型じゃないですか?」と答えるようにしている。A型と答えておけば正解率も高い。
 「このカバン、いくらだったと思いますか?」という質問もなかなかに厳しい。うっかり「全然センスを感じないので値段も分かりません」と言いそうになるが、こちらとしても相手を傷つけるのは本意ではないので、本当に頭に浮かんだ値段の7倍で答えることにしている。この問いに対して回答者は、高い値段で答える以外の選択肢はない。
 さらに厳しいのが「私のことを覚えてますか?」という質問である。全く覚えていなくても「あなたの顔は特に印象に残っていないので、覚えていません」とはさすがに言えず、一応困っている素振りだけ見せる。なぜ「〇〇頃に〇〇で会った〇〇です」と言ってくれないのか。その方が明らかに会話はスムーズに流れる。
 相手に謎のプレッシャーをかけ、困った表情を楽しんでいるのだろうか。それならむしろ納得がいく。これらの質問に共通するのは、「優しさ」の欠落だ。人の優しさや知性というのは、こういうちょっとした会話の端々に出るのではないだろうか。本当に優しくて賢い人は、相手に謎のプレッシャーをかけたり、何かを期待するような質問はしない。
 とはいえ、人間誰しも「自分に興味を持ってほしい」「ちょっとだけ特別だと思われたい」という欲求、また、寂しさや甘えを抱えて生きているものだ。試すような問いを投げてしまうのも、「もっと話したい」「少しでも近づきたい」という気持ちの不器用な表現なのだろう。その気持ちをぶつけてもらえることは嬉しい。
 そう考えると、試すような質問を投げてくる相手も愛おしく、とは流石にならないが、「ああ、この人は今、寂しいのだな」と仏の心で受け止めることができる。

GALATA COFFEE

沢田 隆志・はな夫妻

GALATA COFFEE代表 ウルトラFMパーソナリティ